日本には3種類の生ハムがあります

日本には3種類の”生ハム”があります
・1種類目は本場である欧州から輸入される長期熟成生ハム。イタリアのプロシュット・ディ・パルマ、プロシュット・ディ・サンダニエーレ、スペインのハモン・セラーノ、ハモン・イベリコ等が有名ですが、いずれも豚の骨付きもも肉を原料として塩漬け後長期間乾燥熟成をさせ製品化されます。これらは基本的には燻製しませんが、南チロルのシュペックは燻製させます。南ヨーロッパの食を語るうえでは欠かせない、2000年以上もの伝統と歴史のある保存食です。

  

・2種類目はイタリア、スペイン等の伝統的製法を応用し、日本独自の製法で日本で育った国産豚の骨付きもも肉と天然塩のみ、添加物を一切加えず12ヶ月以上の長期熟成をさせた国産長期熟成生ハムです。日本の環境では製造が難しいという声もある様ですが、むしろ日本の環境の方が向いている、という意見もあります。北は北海道から南は九州まで、テロワール・生産者の哲学・原材料とする豚 etc…様々な要素を複雑に絡ませ、個性あふれる国産長期熟成生ハムが作られ始めています。

・3種類目は、皆さんがコンビニエンスストア等で気軽にお買い求めいただけるパック入りの生ハムです。ラックスハムと呼ばれます。ドイツ風の『ラックス・シンケン』というハムの製法に由来するとされ(本場とは製法は全く違います)、ロース肉・肩肉またはモモ肉などを整形したものを原料とし、食塩・発色剤・香辛料・砂糖・アミノ酸液、薫製エキスなどの調味料液に浸し、ケーシング(ソーセージや塩漬け肉などを包む薄い膜)などで包装し、低温で薫製するか、または薫製しないで乾燥させて作ります。熟成をさせないので、1~2週間ほどで製造でき、大量生産が可能です。

少々専門的になりますが、日本の食品衛生法では食肉加工品(ハム・ソーセージ等)の製造基準は個々に細かい基準はありますが、加熱するか否か、乾燥度合いなどによって”乾燥食肉製品””非加熱食肉製品””特定加熱食肉製品””加熱食肉製品”の4つの区分に分けられます。長期熟成生ハムラックスハムも同じ熱を加えない=非加熱である、ということから”非加熱食肉製品”に分類され、材料も製造工程も全く異なるのに、どちらも「非加熱」であることから「生ハム」と呼ばれています。食品衛生法では究極のスローフードである生ハムを美味しくさせる上で最も重要な熟成期間への言及がないので、短時間でできてしまうラックスハムも、究極のスローフードである生ハムも同じ”生ハム”に分類されます。

以前取材をしていただいた”日経スタイル”の記者様が「ワインでいうところの「熟成されたワインと新酒の違い」みたいなものかなぁと思っていた。が、長期熟成生ハムは使う調味料は塩のみ、塩も漬け込まないで直接すり込む、ケーシングもしないと、ラックスハムとはまるで「別物」だったのだ」と記事に書いていただきましたが、その通り!!なのです。